事業場外のみなし労働時間制(営業職等)

水曜のテーマは労働基準法なので、何を書こうかとパラパラと『受かるぞ社労士』をめくっておりました。

 

※受かってますが、どこに何が載っているか一番覚えているので今でも使っています。

 

明日のセミナーでもお話する内容ですが、今日は事業場外のみなし労働時間制についての話にします。

 

お客様から確認の電話。

 

『営業職って営業手当を支払っていれば残業代は払わなくていいんだよね?』

 

最近は、この質問、経営者や総務の方、不安そうに聞いてこられます。

 

一昔前は、当たり前のようにどこでもそうだった話ですが、今や、ダメらしいというのも一般化してきている様子。

 

私は、個人的には、営業職など自分で仕事の段取りをつけるタイプの仕事は残業代なんて要るんだろうかと思っている口なので、『そうです』と危うく答えそうになりながら、『ダメですよ』と回答しております。

 

この、間違った常識の根拠となったと思われるのが、この『事業場外のみなし労働時間制』です。

 

労働者が労働時間の全部または一部について事業場施設の外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす。

 

これが基本となる条文です。

 

外回りだし、実際に仕事をしているかどうかもわからないし、労働時間の把握はできないから、良いよね?

 

これが言い分です。

 

しかし、大原則は、『事業主は雇用する労働者の労働時間を把握する義務がある』というところにありますので、『把握しようとしたが、どうしても算定できないときは』というくらいの重い意味がここには存在します。

 

でなければ、『何時間働いても、所定労働時間働いたものとみなす』のはあまりに乱暴という論理です。

 

営業報告しかり、携帯電話しかり、定時報告しかり、始業・終業は会社という場合しかり、労働時間を算定しがたいとまで言えるケースは、情報機器が発達し、普及している昨今、なかなか難しくなっていると思われます。

 

ただ、実態としては、相手の都合もあるし、本人の働きやすさからいえば、残業代が出ないからこそ、自由に動ける良さもあって、法律で不自由にはしたくないのですが、法律上はそういうことになります。

 

もちろん、算定しがたいかどうかは、誰が判断できるものでもなく、最終的には、訴えがあって司法判断で決定されるものなので、シロ・クロをはっきりさせることは難しいです。

 

だからこそ、安全な状況を作り出す意向であれば、労働時間を把握しようとした上で、営業日報や自己申告等も織り交ぜながら、できるだけ労働時間に応じた時間外手当を支払っていくほうが無難だと言えます。

 

また、同じ営業手当を支払う場合であっても、『営業職で勤務する事によって労働時間が長くなることについての代償として、○時間の時間外手当として支給する』という定義付けをしておくことで、少なくとも、営業手当分については、時間外手当として認められますし、割増賃金単価の抑制もできます。

 

どういう場合は算定できるからダメという例が、下記の3つしか挙げられていません。

 

①グループで事業場外労働をする場合で、その中に管理者(労働時間を管理する者)がいる場合
②無線や携帯電話等で随時管理者の指示を受けながら労働に従事している場合
③外にでる前に、訪問先や貴社時刻など当日の業務について具体的な指示を受け、事業場外で指示どおりに業務をこなし、その後事業場にもどる場合

 

否認された場合のリスクを考えると、事業場外のみなし労働時間制だけで営業職の時間外手当を払わないという考え方は避けておかれるほうが無難だと思います。

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