インターネットで様々な情報が簡単に入手できる現代、労働者としての義務を果たしていなかったとしても、労働者も法律に基づき堂々と権利を主張してきます。
それに対抗すべく、経営者がすべきこと。
それが、『労務リスク診断』なのです。
労務リスク診断の目的は、組織の人事・労務管理の現状を把握することで、組織に潜む労務リスクを発見し、課題や問題点を明確にすることにあります。
従来、労務リスク診断は、労働基準監督署の指導・勧告を受けないようにするために行うことが主流でした。
しかし、近年では、コンプライアンスや労働者の権利意識の向上による労使間トラブルを未然に防止する目的で、労務リスク診断を行う組織も多くなってきています。
労務リスクを放置しておくことが、組織の基盤を揺るがすようなことにならないうちに、労務リスク診断を受けておくことが絶対に必要なのです。
労務リスクについて、具体的にご説明します。
労働基準監督署の調査では、労働者名簿・出勤簿・賃金台帳の3帳簿のチェックが行われます。
これらが適正に作成されているかはもちろん、過労死・メンタルヘルスが社会問題化している昨今では、労働時間の適正な管理がなされているかが重点項目になっています。
さらに、それらの内容に応じて、就業規則が作成されているか、その内容に則して運用がなされているか、法定時間外労働があれば、36協定が締結されているかなどがチェックされます。
また、賃金面においても、最低賃金が守られているかはもちろん、出勤簿通りに法定以上の賃金が支払われているかのチェックも手厳しく行われます。
その他、入社時・定期健康診断や年次有給休暇、雇い入れ時の労働条件の明示など、チェック項目は多岐にわたります。
当然、これらが不十分な場合は、『是正勧告』を受けて、改善を行う義務が生じます。
そうなると、多額の金銭負担や時間の浪費に加え、精神的な負荷もかかってしまいます。
先にご説明した、労働基準監督署の調査で問題点が指摘されれば良いほうです。そこで労務リスクが明確になって、改善が行われるからです。
しかし、労働者に訴えを起こされたとなると、さらに多額の金銭負担、さらに大きい精神的な負荷を覚悟しなくてはなりません。
不払残業代はその最も代表的な事例で、労働基準監督署の調査であれば、数ヶ月分の支払いで済みますが、裁判となるときっちりと2年分(賃金債権の支払い時効)を請求されます。
月給30万円で、18時終業・土日休みの週休2日だったとして、毎日20時退社・月2回の土曜出勤をしていて、残業代を払っていなければ、307万円の請求、同額の付加金を合わせれば614万円の請求をされるのです。
不当解雇の事例になれば、それらに加えて、裁判期間中に得られたであろう逸失利益、精神的慰謝料なども請求され、想像を超える額になってしまいます。
前出のような法律上の問題点だけでなく、取り扱いを決めておけばトラブルにならなかったことも、何も決めていなかったために、経営者を悩ませることがあります。
例えば、私傷病での長期欠勤の場合に退職時期を決められずにダラダラと雇用することになったり、退職したパートタイマーから突然退職金の支給を求めて訴えられたり、パワハラに関しての周知・指導がなされていなかったために管理者責任を問われたりなど、対処しておけば防ぐことができたケースは、いくらでもあげることができます。
こうしたリスクを抱えたまま放置しておくことは、組織にとって良いことではありません。
しかし、あらゆる労務リスクを想定し、経営者自らが全てチェックしていくことは、容易ではないでしょう。
当方では、独自のチェックリストを用いた『労務リスク診断サービス』をご提供しています。専門知識を有した職員が、組織に潜む労務リスクをシュミレートし、適切かつ必要な改善を行うためのアドバイスをいたします。
当方では、労務リスク診断がどういったものかを知っていただくために、無料簡易診断サービスを行っています。
労務リスク診断によって、見えない不安な労務リスクが、目に見える問題点に変わることで対処方が明確になって安心に変わるのです。
労務リスク診断の流れは以下の通りです。
雇用管理が経営上の重要事項であるなか、労務リスク診断は組織にとって欠くことのできないものになっています。
人間が健康診断を受けるように、そこで早期発見されることが命を救うことがあるように、組織も労務リスク診断を受けて、取り返しのつかない労務トラブルにならないように、是非この機会に労務リスク診断を受けておきましょう。
ただし、申し訳ありませんが、無料簡易診断については、当方の事務所より片道2時間程度の範囲に限定させていただきます。
また、詳細な本来の労務リスク診断については、広域対応させていただいております。
ご関心をお持ちいただければ、お問い合わせ•ご質問から、ご相談ください。