時間外労働の種類(法定外・所定外)不払い残業代対策①

正社員は何時間働けば、月給を手にできるでしょう?

 

月給は何時間の労働の対価なのでしょう?

 

答えられる経営者、答えられる労働者、案外少なかったりします。

 

時間給なら1時間おいくらとはっきりしていますが、月給の場合、そのあたりがうやむやになっているケースがすごく多いです。

 

①働くべき時間とした時間帯すべての時間に対する対価

②週40時間の労働を1カ月おこなったことに対する対価

③月170時間の労働に対する対価

 

上記の内容は、似ているようで違います。

それぞれ、その人の実質時間給は変わってしまいます。

 

そして何より、追加で支給すべき時間外労働の数え始めの時間が変わってしまいます。

 

一気に説明すると長文になりますので、今回は表題の件を説明しておきます。

 

所定外の時間外労働というのは…。

・雇用契約において賃金の対価として定められた時間以外の労働

 

法定外の時間外労働というのは…。

・週40時間、1日8時間(変形労働時間制採用時は一定期間内で平均週40時間)を超えた労働

 

いわゆる25%の割増が必要なのは、法定外の時間外労働です。

 

たとえば、

月160時間の対価として月給160,000円をもらっている人であれば、変形労働時間制を採用しておらず、その月の初日が月曜日で、月-金(土日祝休み)で1日8時間労働、祝日がなかった暦日30日の月の場合、おそらくは、月・火が5回ありますから、176時間の労働になるはずです。

 

この場合、週40時間・1日8時間は超えていないので、法定外の時間外労働というのは行われていません。

 

しかし、月給の対象が160時間だと雇用契約で定めているので、16時間については契約外の労働ということで、所定外の時間外労働ということになります。

つまり、時間外手当が発生するわけです。しかし、法定外の時間外労働ではないので25%割増は必要ありません。1,000円×16時間=160,000円ということになります。

※160,000円÷160時間=1,000円/時間

 

しかし、これが暦日が28日の月の場合で、祝日もない場合。

1日だけ9時間働いてしまったとすると、どうなるでしょう。

月の総労働時間数は161時間。ですから所定外の時間外労働は1時間。

しかし、9時間働いた日の1時間は法定外の時間外労働ですから割増が必要です。

結果、1,000円×1.25×1時間=1,250円の時間外手当が必要ということになります。

 

今回は、月給の対象労働時間数を決めている場合の話です。

これが、月-金(土日祝休み)で1日8時間、これで勤務すべき時をすべて勤務した場合の労働の対価と決められていたら、最初の方の例では、所定外の時間外労働はなかったことになります。

 

あるいは、月給の対象労働時間数が170時間と決められていたら、これまた、最初の例では所定外の時間外労働はなかったことになるのです。

 

つまり…まとめますと…。

 

所定外の時間外労働(100%の支給:上記例の1,000円)

・労使間で取り決めた時間との比較

(自由に決められる→過多な労働を強制せず最低賃金を超えていれば…。)

 

法定外の時間外労働(125%の支給:上記例の1,250円)

・法律に定められた時間との比較

(1日8時間・週40時間以上の労働→変形労働時間制採用時は除く)

 

ということになります。

 

つまり、一般的な時間外手当のうち80%(100%/125%)は、自由に決められる労使間での『月給がどれだけの労働の対価なのか』という取り決めによって左右されているわけです。

 

そして、その『月給がどれだけの労働の対価なのか』ということが定められていないケースが圧倒的に多いのです。

 

定められていなければ、労使間が順調な時期は理解しあって折り合いますが、戦闘モードに入れば、お互いに都合の良い解釈をしていきます。

 

経営者の立場としては、ここを明確にかつ有利にしておくことで、時間外手当の不払い請求を起こされた際のリスクをかなり低減できます。

 

口頭でのご説明・詳しい対応策の検討が必要でしたら、お気軽にご相談ください。

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