『これこれこういう事情なんですが、解雇できますかね?』
こうした相談を受けることが多々あります。
不当解雇は法律で禁じられています。
しかし、正当・不当の判断は、実は裁判でしか明確な答えは作りだされないのです。
あまりにも悪質というか、明らかというか、そうした場合は、労働基準監督署が指導するケースもありますが、微妙なケースになってくると、労働基準監督署では判断ができないわけです。
解雇というのは、労働者にとって生活の糧を奪われてしまう一大事です。
日本国は憲法で勤労の義務を課し、最低賃金を規制し、結果として生活補償をしているというスタイルの中、働く場所を奪われることを容易に認めていては、生活補償をしていないのと同じ事になってしまいます。
反面、事業主の代理行為を行わせる労働者を、どんな場合も辞めさせられないとなると、事業主は怖くて雇用ができなくなってしまいます。労働者が行った代理行為の責任は事業主が取らされるわけですから…。
従って、なかなか、これはシロ、これはクロとか線引きができないので、結果、裁判での司法判断にゆだねられるわけです。
では、どうすれば良いのか?
納得してもらうしかないわけです。
訴えを起こされない解雇をすれば良いわけです。
決して解雇を推奨しているわけではありませんが、お互いにとってプラスにならない雇用契約を無理に続けることもおかしい話です。
何故、解雇する・しないということになっているのか?(注意・指導)
当然、それに対して、労働者は弁解するし、今後の改善を誓うはずです。
そこでチャンスを与えます。(挽回の機会)
それで改善すれば良いです。解雇の必要はなくなります。
ただ、多くの場合、改善しません。
再度、注意指導・挽回の機会と繰り返して、最終的に労働者にも納得してもらうわけです。
納得というところまで行かなくとも、少なくとも、事業主に恩義を感じる程度にまでは持っていくことができるはずです。
そうすれば、解雇ではなく、退職勧奨というところまで持っていくことができるはずです。
解雇と退職勧奨は、ともに事業主都合の雇用契約の終了ですが、本人が同意しているかどうかというところで、雲泥の差があります。
そうなれば、そもそも正当・不当を問う必要がなくなるわけです。
私が『裁判で勝てる解雇はほとんど無理』と回答するのは、退職勧奨に持ちこめなかった解雇は、やはりどこかに正当性に欠ける部分があると思っているからです。
大事なのは、コミュニケーションを取ること、普段から言動に対する注意・指導(人格否定ではありません)をしておくことだと思います。
何も言わずにおいて、最終的に非難とともに、どこが悪いかも伝えずに、チャンスも与えないで解雇を告げたとしても、納得がいくはずがありません。
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