月給の対象労働時間

昨日は、医業の新規開業のお客様とスタッフの雇用条件についての打ち合わせ。

 

最近、新規開業時に労務関係の事柄をしっかりと考える先生が増えてきています。

 

開業後、最も苦労すること、最もストレスのかかることのひとつがスタッフとのトラブルです。

 

トラブルの原因となるのは、決まっていない条件を互いが都合の良いように理解していて、そこに相違があることが最大の原因です。

 

ゆえに、新規開業時という最も自由に物事を定められる機会において、少しでも先生にとって良い条件を“原則”という定義をしておいて、運用上で緩めていくというのが、上手なやり方だと思います。

 

そう考えれば、こうした流れができてきていることは、大変良いことだと思います。

 

前置きが長くなりましたが…。

 

表題の件、月給の対象労働時間。

明確に定まっているでしょうか?

 

考えられるケースがいくつかあります。

①○○○時間の労働の対価

②法定労働時間数の労働の対価(割増賃金が生じない範囲)

③勤務すべき日・時間全てに勤務した場合の労働時間数の労働の対価

 

実は、これらが決まっていない事業所が結構あります。

 

特に医療機関を始めとしたシフト制の事業所では、③ということになっていて、

いざ、“勤務すべき日・時間”の総時間数を数えてみると、著しく少ない数字になっていたり、著しく多い数字になっていたります。

 

医療機関では、先生が労務管理に関心がないと、シフト作成をスタッフに任せてチェックもしないようなケースがあります。

 

悪気はないと信じますが、まずパートさんの希望勤務シフトを入れてしまい、その上で残った分を常勤でわけるというスタイルをとって、その結果、常勤職員の勤務すべきシフトが月130時間しかないようなケースも案外存在します。

 

1日8時間週40時間なら、160時間以上にはなるわけですから、スタッフにとってはかなり美味しい状況が生まれます。

 

でも、先生としては、シフトがまわっていれば特になにも気づきません。

 

もし、常勤スタッフの170時間分の労働の確保から行えば、余分なパートさんが存在してくるかもしれませんが、それに気づくこともできません。

 

同じ200,000円の給与でも、170時間の労働の対価なら時間給1,177円ですが、130時間の労働の対価だと時間給1,539円になってしまいます。

 

大きな違いです。

 

世間に出まわっている一般的な就業規則のひな型では、ここが不明確ですし、労働条件通知書でも定義されているのをほとんど見かけません。

 

でも、実は非常に大事な項目です。

 

一度、月給制スタッフの勤務表を確認して見られてはいかがでしょう?

 

思ったより少ない時間数しか働いていないかもしれません。

 

“原則は月給は170時間の労働の対価だけどシフトは月130時間で作って運用している。”

 

“月給の対象労働時間数が130時間”

 

この二つの差は、とても大きいんです…。

※もちろん同じ月給ですから、月170時間程度しっかり働いて欲しいんですが…。

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