昨日、管理監督者に関するブログで、定額の時間外手当についてふれました。
今日は、定額の時間外手当の基礎中の基礎をご説明してみます。
定額の時間外手当というのは、本来、事後、実際に生じた時間外労働に対して払われる時間外手当を、定額で事前決定して払ってしまうものです。
『10時間時間外労働をした(事後)から20,000円支払う』ではなく、『(事前に)10時間分の時間外手当として20,000円を支給を確定する』という考え方です。
上記の記載の仕方、結構気を使って書きました。
定額の時間外手当というのは、使い方によっては、かなりのパワーを持っています。
なので、有効と認められるにはそれ相応の必要条件があります。
でなければ、『営業職だから、営業手当の支給を持って時間外手当の支給対象としない。』といった乱暴な扱いも可能になってしまいます。
当然、そんなことは許されませんので、以下の条件を満たす場合に、認められやすい(ブログ記事ですから、お約束はしづらいですね…。)状況が整います。
・定額の時間外手当額が明確であること(基本給などとの区分け)
・その定額の時間外手当が何時間分の手当であるかが明確であること
・労働時間の管理を行って、前述の何時間分を超えた場合には、追加で時間外手当を支給すること
・実際に時間外労働がなかった場合であっても、減額せず、満額を支給すること
・上記の内容が、就業規則・雇用契約書等に記載がなされ、労働者が明確に理解していること
上記を読んでしまえば、実は定額時間外手当というのは、単に、普通に払うべきものより多くの時間外手当を事前に支払い確定してしまったものという印象になるはずです。
ですから、単に現状の賃金体系のまま導入すると、支給額が増えてしまうことになります。
あるいは、既支給分に新しく意味付けするとなると、原則不利益変更になってきます。
理屈は単純なのですが、導入時は、その代替措置であったり、説明であったりというところが非常に大事になってくるのです。
ですから、『残業代を減らしたい』で導入すると、まず抵抗されてしまいます。
では、その時の大義名分はというと…。
『みなさんの頑張りを単純に時間で評価するのはおかしいと思っている。時間ではなく、働いた成果や結果、あるいはそれまでの過程や取り組みの意思を評価していきたい。』
こうした『時間評価との惜別』ということになると思います。
みなさん、そう思っていることだとは思いますが…。ここを大義名分に進めれば、当然、その代償というのも自然に生まれてくるはずです。
うまく導入するコツのひとつとしてご紹介しておきます。
また残業代請求対策目的であれば、また少し違う対応もあり得ます。
その辺りの詳細は、個別にご相談いただければと思います。
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