近年、精神疾患の休職についての質問が増えたことは以前書いたように思います。
精神疾患については、経営者にとってのひとつの大きなリスクがあります。
それは、補償問題です。
精神疾患については、その原因が業務上なのか、業務外なのか、原因がはっきりしません。
業務上だと認定されれば、労災保険の給付があります。
しかし、業務外ということになれば労災保険の給付がありません。
認定されるか否かで、労働者にとって大きな違いがあるわけです。
しかし、これは経営者にとっても大きな違いになります。
なぜなら、明確に業務起因性がなければ、そもそも労災保険の話など出ていないわけですから、労働者や遺族は仕事が原因だと思っているわけです。
そうなると、今度は、『安全配慮義務違反(労働契約法第5条)』ということで民事訴訟に訴えてくることになります。
労災のように0か100ではありませんから、会社にも一部責任があるということになると、満額ではないものの、金銭補償をしなくてはならなくなるわけです。
しかし、労災保険はおりませんから、会社としての負担は一番大きくなるわけです。
また、これらは、当たり前のことですが、管理職の安全配慮が欠けていても、会社に補償義務が生じます。
で、大事な労災認定率ですが…。
平成20年度は31.2%。
※おおよそ30%前後を推移しています。
862件の申請に対して、269件しか認定されていないのです。
ちなみに自殺については、161件中66件で41%。
恐ろしいリスクだと思われませんか?
こうした補償問題だけではなく、社員の精神疾患は様々な影響が出ます。
メンタルヘルスの大切さを考え直すきっかけになればと思います。
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