年次有給休暇。繰り越し分と新規発生分

年次有給休暇ですが、本日の題名のようなことは考えてみたことがあるでしょうか?

 

例えば、初年度もらった10日間の有給休暇を持っていたとします。

そして、1年経って、さらに11日間の有給休暇が発生したとします。

 

ここで有給休暇を使用すると、初年度もらった分か、新しくもらった分かどちらが消化されたことになるかというお話です。

 

『どちらも変わらないんじゃないの?』

 

そんな声が聞こえてきます。

 

いえ、違いますよ。

経営者の考え方によっては大きな違いと考えるケースもあると思います。

 

わかりやすく言えば、

賞味期限の切れかけた有給休暇か、新鮮な有給休暇か、どちらから食べるかという話です。

 

余計にわかりにくくなりました?

 

具体例で考えてみましょう。

 

(1)繰り越し分から先に使用

10日、11日と有給発生。

繰り越し分10日、新規発生分11日。

この年度に5日間の有給休暇利用。

繰り越し分5日、新規発生分11日。

年度が終了して、新たに12日発生。初年度分は時効を迎え消滅。

繰り越し分11日、新規発生分12日、合計23日。

 

(2)新規発生分から先に使用

10日、11日と有給発生。

繰り越し分10日、新規発生分11日。

こ の年度に5日間の有給休暇利用。

繰り越し分10日、新規発生分6日。

年度が終了して、新たに12日発生。初年度分は時効を迎え消滅。

繰り越し分6日、新規発生分12日、合計18日。

 

あら…。

5日分も違いますね…。

 

つまり、新規発生分から利用することにすると、有休休暇を貯めにくくなるのです。

 

一見、経営者にとって非常に有利に見えるかもしれません。

 

が…実態は…。

『退職時の有給休暇残日数は少なくて済むが、場合によっては有給休暇の総使用日数は増えかねない。』

ということになります。

 

どういう事かと言うと、繰り越してしまった分は、新しく発生したものを使い切らない限り、使えないことになりますから、結果的に、繰り越させない、つまりは、毎年使い切る社員が出てきます。

 

その意識が働けば、今よりも計画的に有休休暇を使用するケースが出てきて、結果、有休休暇の使用率が上がってくるという現象です。

 

ただし、退職時には、40日残すことはかなり困難になります。

 

経営者として、今後も、元気に活力あふれて勤務してもらうために、有休休暇を利用してくれるなら、まだ納得できても、退職が決まった社員が、最後に使い切って辞めるというのは、精神衛生上、良く思わないケースが多いと思います。

 

厚生労働省としても、有休休暇の意義を、元気に活力あふれて勤務するために使うことのほうを推奨しています。

 

 

では…。このルールですが、どちらでも良いかというと…。

 

法律上もどちらでも良いことになっています。

就業規則の記載、労使間の取り決め、慣例といった優先順位になるでしょうが、取り扱いは労使間に任されています。

 

私が経営者だったとしたら…。新規発生分から使用を選びます。

 

さて、社長はどちらが良いですか?

 

 

 

 

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