正社員とパートの違い。
正規・非正規のような表現もありますが、結構イメージだけで決まっているもので、法的には何の根拠もないものです。
『パートだから○○は要らないよね?』
こんな質問をよく受けます。
その質問の内容自体は、実態として要らなかったりするのですが、
『パートだから』という理由は、ほぼ100%間違っています。
そのあたりをまとめてみましょう。
(1)正社員は月給、パートは時給
このように定義をしている事業所は多いです。
しかし、これは何かの根拠があるものではなく、世間の常識とされるものがそうなっているからだけです。
時間給正社員や月給パートタイマーがいても、なんら問題ありません。
ちなみに、パートタイマーの定義だけが、『パート』=『部分的』労働者という部分であるのが、唯一、言葉から理解できる定義だったりします。
つまり、『正社員に比し、労働時間が短い者』=『パートタイマー』という考え方です。
そう考えれば、労働時間数が短い月給者や、フルタイムの時間給者も存在しますよね?
フルタイムパートという完全なる造語も存在します。
全てに勤務する部分的労働者?
間違っても、『パート』=『時間給』ではありません。
(2)パートは解雇しやすい。
間違ってはいません。
が、それは、30対80の試合ではなく、98対99の試合なのです。
つまり、どちらかを解雇せざるを得なくなった際に、他に明確な基準での選別ができなくなったときに、正社員ではなくパートタイマーを解雇するということに合理性が出てくるだけです。
『パートタイマーだから解雇しやすい』ではなく、他の要素での判断ができない場合に、生活の中心的な収入を当社の給与で得ているAさんよりも、家計補助的な収入として当社の給与を得ているBさんを解雇するほうが合理的であるという判断になるだけなのです。
(3)パートだから賞与・退職金は要らない。
これも、事業所としてそのように定義をしているだけで、当然にないわけではありません。
上記のような勘違いで、説明もせずに雇用契約を開始してトラブルが多かったからこそ、過去は必要でなかった『賞与・退職金の有無』が雇用契約書の必須記載事項になったわけです。
何も言わなくても当たり前に払わなくて良いのではなく、面接時に『うちでは、時間給者への賞与・退職金はありません。』とお伝えしておかなくてはなりません。
(4)パートだから有給休暇はない。
これも、5年ほど前までは、誰もが信じて疑わない常識になっていたと思います。
しかし、今では、かなり多くの事業所でパートタイマーにも有給休暇が付与されるようになってきたように思います。
とはいえ、『休んだ時に費用が減るからこそ、パートタイマーを雇用しているのに!』と思ってしまう経営者も当然いらっしゃいます。
長年それが当たり前でやってきているわけです。
『有給休暇が取れない→取れる』という改定は、年間5万円~10万円程度の昇級になります。
しかし、これについては、どうしようもないことですので、昇給等の時期にうまくお願いもしながら、少しずつ取得できるように経営者側から働きかけていくことが、一番上手な導入の仕方だと思います。
(5)パートだから保険は要らない。
これは明確に違いますね。
社会保険も雇用保険も、週所定労働時間に応じて、加入義務があります。
社会保険は正社員の3/4以上の勤務時間、雇用保険は週20時間以上の勤務。
社会保険は調査等で是正されるので、最近は守られているケースが多いですが、雇用保険は未だにパートは未加入という事業所が見られます。
(まとめ)
『パートだから』が理由になるケースは皆無だと認識してください。
もちろん、法律やルールを認識しながらですが、あくまでも、『当然に』除外されるものではありません。
除外するのであれば、その旨を事前にお伝えしておくことが重要ですし、法律上除外できないものを除外している場合、最終的に、それらは権利として請求されることになります。
もし、今、誤った認識、取扱いをしているなら、急にが無理なら少しずつでも、その分昇給をしないなど、労働条件を良くするという捉え方で、導入していかれることをお勧めします。
コメントをお書きください