月給の対象労働時間~何時間で○○万円?~

よくトラブルにつながる内容で、昨日もトラブルではありませんが、どうしようかとご相談を受けていた内容です。

 

労働条件を決定する際に、給与を決めるのは当たり前ですね?

 

『月給30万円です。よろしく。』

 

これで給与は決まったのでしょうか?

 

いえ、実は決まっていないのです。

 

この月給、何時間の労働の対価なのでしょう。

何も取り決めがなければ、一般的には、当該月の所定労働時間ということになるでしょう。

土曜日日曜日祝日が休みの1日8時間労働なら、休みの日以外の毎日8時間の労働の対価ということになるでしょう。

 

これならわかりやすくて良いのですが、相手のある、つまり客商売であれば、8時間だけを営業時間としているケースは少なく、シフトを組んで、交替制で勤務をしていることも多いはずです。

 

先ほど、決まった30万円。何時間のシフトを組めば良いんでしょう?

 

同じ30万円で、対象労働時間数が、150時間・170時間・190時間の場合に、200時間働いた場合の賃金を計算してみましょう。

(計算上170時間超を1.25倍とします。)

 

【150時間】

300,000円÷150時間=2,000円(時間単価)

20時間×2,000円+30時間×2,500円=115,000円(時間外手当)

総額:415,000円

 

【170時間】

300,000円÷170時間=1764.71円(時間単価)

30時間×2205.89円=66,177円(時間外手当)

総額:366,177円

 

【190時間】

300,000円÷(170時間+20時間×1.25)=1538.47円(時間単価)

10時間×1923.08円=19,231円

総額:319,231円

 

こんなにも変わってくるのです。

 

月給の対象労働時間数は、法律上、何時間としなさいというルールはありません。

上記のような、どれで設定したとしても、法律上は何ら問題ありません。

 

しかし、労使それぞれにとっては大きな問題です。

使用者としては、少しの残業を含めた190時間分くらいで思っていたとして、本人が以前の勤務先で150時間程度で月給をもらっていたとしたら、その差は100,000円です。

 

明確に定まっていると思っていた給与額は、実際には全く定まっていなかったようなものです。

 

医療機関では、月給を決めて、シフトはスタッフに任せているというケースを良く見かけます。

 

先生としては、今いるスタッフで不都合なく回してもらえていれば良いというスタンスかもしれません。

 

しかし、スタッフから人が足りないという要望を受けて、私どもがチェックしてみたら、シフトの時間数が135時間しかなかったというようなケースもよくあります。

 

こうしたケースでは、先生が思っていた以上の時間単価で給与を支給していたことになりますし、実は全く人不足ではなかったりします。

 

スタッフはこれを悪気なくやります。

 

パートさんが入りたい希望を聞いて、自分たち常勤が空いているところを埋める。

むだに人が多くても仕方ないので余分には勤務しません。

 

結果的にこうなるわけです。

 

本当は、自分たちの月給に見合う勤務時間数を確保した上で、パートさんの勤務を入れるべきなのですが、自分たちは犠牲になってパートさんからという善意からこれらを結果的にやっているケースもあります。

 

シフト制による月給制を敷いている事業所の経営者の方。

一度、みなさんが月に何時間働いているのか、シフト表を数えてみてください。

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