家族手当の支給条件で悩んでいます…。

【質問】

家族手当について、今までなんとなく支給してきているのですが、本当に必要なのか、適正な支給なのか、疑問に感じています。見直しを検討しているのですが、他社はどういった基準で支給されているのでしょう?

 

【回答】

まず、家族手当について、支給義務はありません。法律に関係するところで言えば、残業代の単価計算にいれなくて良い家族手当ということで定義が存在するのみで、支給要件については何の縛りもありません。

そもそもの支給意義を考え、経営者の思いが反映された仕組みにされることが、最も適切と言えます。

 

【解説】

家族手当は、前述の通り、支給義務もなければ、何の縛りもありません。

払いたい要件で、払いたい額を支給すれば良いのです。

また、一時期は、能力や成果と全く関係のない、生活扶助的な手当について、削減ムードがあったこともあり、廃止・削減に向かっていましたが、昨今、社員を家族だと認識した終身雇用・年功序列賃金が見直されてきたこともあり、家族手当も見直されています。

 

少子化対策という国としての問題も踏まえて、従前のように単純に支給するのではないケースも出てきています。

 

①支給時期

支給時期を『小学校就学前まで』『中学校就学前まで』といったように短期間に限定し、従来よりも多い額を支給するケースが見られます。『児童扶養手当』といった名称に変更して支給しているケースもあります。

支援が必要なのは、給与がまだ高くない若年層であり、そうした世代が子供を生みづらい環境を改善するためには意義のある支給方法でしょう。

 

②一時金

出産時に一時金を支給するケースもあり、実は従来の家族手当として支払うよりも負担は少ない(5,000円を16年8ヶ月で100万円)にもかかわらず、出産時に100万円を一時金で払うというようなスタイルが注目されたりもしていました。

 

③条件

こちらは以前からの問題ですが…

・所得税の扶養(扶養控除申告書に基づき)

・健康保険の扶養

・世帯主

・配偶者を扶養していること

・無条件

どれが適切なのかも、経営者の判断によるところでしょう。

所得税・健康保険の扶養の場合は、アルバイト等でその年扶養でなくなった場合のトラブルや、配偶者も通常に働いている場合のどちらの扶養にするかといったトラブル、世帯主の場合は形式上と実質条のトラブルなど、運用上も迷う場面が出てきます。

いずれにしても、経営者として、明確に、『こうした人を援助してあげたい』という明確な基準を持っておいて、迷ったときや制度の悪用が見られたときは、その指針に適合しているかで支給の有無を決定できるようにしておきたいところです。

 

④その他の問題

また、こども手当の関係で、こども手当支給対象者は所得税の扶養ではなくなってしまいます。そうなった場合にどうするのか?

いくつかご質問も来ていますが、正直なところ、政治の動きも流動的で判断に迷うとことです。

逆に言えば、こども手当関係で、結果的に負担が大きくなる、あるいは負担が減らない層を補助してあげるというのもひとつの方策です。

もうひとつの大きな問題、高齢者介護についての援助を行うのも、経営者としての考え方次第です。

 

⑤注意点

いずれにしても、支給がなくなる・減るケースでは、きっちりとした説明とともに、猶予期間が必要です。あるいは、新しく発生するもののみを新制度の対象とし、従来の支給を残すという形であればスムーズな導入も可能です。

 

いずれにしても、自由だからこそ難しい。

 

明確かつ経営者の思いが表れた制度が一番正解に近いと言えます。

 

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コメント: 1
  • #1

    マキ (月曜日, 24 4月 2017 13:29)

    家族手当というものの存在を知らず、約2年間正社員で勤めていました。
    母子家庭で、子供は1人(障害者)です。
    4月の給料から手当が付いています。
    この手当は、自己申告制だから、さかのぼっての支給はできないと言われました。
    仕方ないのでしょうか?

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