社員が繁忙期に有給休暇の申請をしてきました。申請を拒否しても良いでしょうか?

【質問】

社員が繁忙期に有給休暇の申請をしてきました。申請を拒否しても良いでしょうか?

 

【回答】

拒否するのは微妙です。事情を説明して同意を得るのが無難でしょう。ただし、その社員が休暇取得することによって著しい損害が出ることが予測される場合は、拒否も可能です。

 

【解説】

有給休暇には、労働者が持つ『時季指定権』と、経営者が持つ『時季変更権』があります。

労働者が『○月○日に有給休暇を取得したい』というのが時季指定権です。それを、『その日はダメです。別の日にしてください。』と認めないのが時季変更権ということになります。

 

この経営者が持つ時季変更権を行使する際の条件が厳しいものがあります。『事業の正常な運営を妨げる場合』とだけ規定があり、具体的にどのようなことがあてはまるかは明確に示されていません。

 

少なくとも、代わりに勤務できるものがいる場合は、難しいといえます。恒常的な人員不足という理由で代わりの勤務者を確保するための努力をしなかった場合で、裁判で不当とされたケースもあり、派遣会社の利用などが強制されるかどうかというところもはっきりと区分けすることが難しい状態です。

※過去の裁判例で否認されたケースは、労組絡みで他の目的で時季変更権を行使している雰囲気があり、それは当然のような気がしますね。

 

時季変更権で、裁判までになるケースは考えにくいですが、あまり強行するのは、労使関係を悪くする可能性も高く、お勧めできません。

 

できれば、時季変更のお願いをして、納得・同意をしてもらって、申請しなおしてもらうくらいの流れが好ましいでしょう。

それでも固辞されたら、あきらめましょう。

結局、欠勤されたらどうしようもないわけですから…。

 

1賃金計算期間の取得日数を制限したり、連続取得日数を制限するのも、時季変更権の行使が認められる環境でなければ、合法とは言いづらいです。

 

ですから、ルールとして強行するのでなく、『お願いする』という表現で、『やむを得ない場合は業務の具体的対応を含めて経営者と相談の上取得する。』といった感じで定義しておくのが限界だと思います。

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平成22年11月26日(金)

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京都商工会議所2階教室

(京都市中京区烏丸夷川上る)

平成22年11月26日(金)に開催される、京都商工会議所の人事労務サポートセミナーに講師として参加させていただくことになりました。

参加費無料とのことです。 

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