『1年単位の変形労働時間制』を導入すると残業が減ると聞いたのですが、本当でしょうか?(3日目)

昨日予告した通り、今日は1年単位の変形労働時間制導入時の残業の考え方についての解説です。

 

まず、結果論ではダメだということをご理解ください。

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入している場合に誤って運用されていることが多い例で、『1ヶ月(1年)が終わって、結果的に1ヶ月(1年)を平均して週40時間を超えていなければ、残業代は不要!』とされているケースがあります。

 

『月170時間までは残業代不要、だって1ヶ月単位の変形労働時間制だから。』

これは誤りです。

 

1ヶ月単位にしても、1年単位にしても、通常の労働条件よりも労働者には手厳しい労働時間制度ですから、過酷になりすぎないような規制も多くあります。

 

それが、『あらかじめ労働時間が定められている』という規制です。

昨日以前に、ご説明した通り、1年単位の変形労働時間制の労使協定に年間カレンダーを付けて提出する話をしました。これにより、具体的な労働日・各日の労働時間を確定しているわけです。

 

この『あらかじめ定められている労働時間』というのが、重要で、時間外労働を考える際にも、重要なポイントになってきます。

 

月給=所定労働時間(勤務すべき時間)だった場合の、時間外労働の考え方は次の通りです。

 

法定時間外割増賃金(1.25倍)が必要な労働とは…。

 

『所定労働時間(勤務すべき時間)を超えて、かつ1日なら8時間、1週なら40時間を超えた労働。』

 

ということになります。

 

所定労働時間が10時間の日なら、10時間働いても時間外手当は不要です。

しかし、所定労働時間が8時間の日なら、10時間働けば2時間分の法定時間外割増賃金が必要になります。

 

また、1日6時間労働の日に、8時間働いた場合、増えた2時間で週40時間を超えないのであれば、その2時間は法定時間外ではなく所定時間外賃金になり、割増のない1.00倍の残業代を支払えれば足りることになります。

 

まとめますと、

(1)所定労働時間(勤務すべき時間)を超えた分

1.00倍の時間外手当は支払確定

(2)所定労働時間を超えた時間のうち、1日8時間・1週40時間を超えている分

0.25倍の時間外割増賃金

 

こちらの流れでほとんどのケースで正しい時間外労働を算出することができます。

 

文字で書くと複雑そうですが、やってみるとそう難しくはありません。

 

もし、現状、誤った運用をされていることがあれば、これを機会に改善してやってください。

 

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