事例編②『1年単位の変形労働時間制』を導入すると残業が減ると聞いたのですが?(5日目)

さて、昨日は、大筋での方向性を決めるところまででした。

 

決まった大筋は…。

 

①繁忙期については、1日の労働時間を9時間30分にする。

②1時間30分の延長の場合、83日まで繁忙期とできる。(4か月程度)

 

では具体的に考えるべく、カレンダーを作成します。

せっかくなんで、どうせ作らないといけないので、平成23年1月1日~12月31日の分でやってみましょう。

【繁忙期:12/1~3/15】

数えてみますと、営業日が72日ありました。

67日×9.5時間=636.5時間

【通常期:3/16~11/30】

(243日-67日)×8時間=1408時間

従って、年間の総労働時間数は、2044.5時間でクリアできます。

 

最多労働時間まで、40.5時間の余裕がありますので、暦により労働日が多くなったり、繁忙期と通常期のバランスが変わっても、このルールで大丈夫そうです。

 

これなら、週48時間を超えることもありませんし、1日10時間・週52時間もクリアしています。また、労働日数の制限がかかる要件である旧協定よりも悪い条件になることもなく、休日も1週1日(実際は2日)を確保できているので、なんら問題はありません。

 

よって、この内容に確定しました。

 

ただ、この内容で成立したとすると、初年度はかなりの不利益変更です。

なにしろ、労働時間が、年間108時間、月当たり9時間増えるわけです。

ですから、以下のようなルールを制定しました。

 

繁忙期の所定労働時間 8:30~19:00

ただし、17:30以後に退社した場合は、その理由の如何に関わらず、注意・指導はなく、評価上のマイナス、賃金計算上の控除もなく、つまりは、一切不利益な取り扱いを行わない。

 

これで、残業としてカウントされる時間数は、1日あたり1時間30分減ったわけです。当然、これでも不利益変更ですが、このときに一緒に導入した定額の時間外手当、昇給と合わせて、組織の方針、時間では評価しないというところを理解してもらって、就業規則・賃金規程の改定・1年単位の変形労働時間制の導入について、全員の同意を得ました。

 

【注意点】

繁忙期については、30時間分以上の時間外手当を削減することになります。

乱暴に導入しては、不満にこそなっても、労働者のモチベーションは良い方向には進みません。

そうならないように、是非とも、昇給や、前出の労働義務のない所定労働時間などを併用して、労働者の理解・同意を得てください。

 

なお、うちは、繁忙期と通常期に分けましたが、同じ休みの数なら、8時間30分労働というのも可能になります。

それぞれの会社に適した労働時間の振り分けによって、残業代を払う払わない以前に、法律上カウントされる時間外労働時間数は減らしておくに越したことはないでしょう。

 

最終回の明日は、手続きや必要書類についてご説明します。

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