電車通勤しているはずの従業員を自転車置き場で見かけてしまいました…。どうしましょ。

【質問】

電車通勤しているはずの従業員を自転車置き場で見かけてしまいました…。どうしましょ。

 

【回答】

超リアル質問です。

が、結構ある話です。

 

まず…。

 

労働者は交通費をごまかすことに『大きな悪意』を持っていません。

 

なぜか、労働者は交通費に関しては、事業主の財布からではなく、『どこかから降ってくる』ような印象を持っていて、事業主からもらう給与とは別で考えています。

ですから、事業主を騙して、『事業主から偽って給与を多く取ってやる』というような悪意は一切なく、ちょっとごまかしておこうくらいの軽い気持ちでやっています。

 

ですから、許せるなら、引き続き気持ち良く勤務して欲しいなら、金額が大きくなければ、たまたま今日だけ何かの理由で自転車だったんだろうと思いこんで忘れるのも一考です。

 

問題点は、解説に譲ります…。

 

質問のケースは医療機関で、全部の日に出勤するわけではないので、定期券購入・コピー提出という手段が採れません。

どうしても、こういうことを避けたい場合は、最終手段として、最近は交通機関のカード類も充実しています。

何かの理由で大量に手に入ったので、交通費を現物支給で、カードで渡して、使用後に提出させるというスタイルを取ることもできます。

ただ管理がかなり面倒です。

 

【解説】

質問のケースで、通勤方法が虚偽申請であった場合にどういった問題が起きるでしょう。

 

・労災

通勤経路と違う道で通勤していたので、それ自体が通勤ではなかったとされる可能性があるのではという推測があります。

ですが、実態として、それが通勤だったとしたら補償はされますし、そうでなければ補償はされないという事実に変わりありません。虚偽の申請をしていて、違うルートであっても、そのルートで通勤するのが合理的であれば、通勤災害を疑われることはありません。

そもそも、労災申請に通勤経路申請書的なものの提出は行いません。だって、ない会社もありますから…。

 

・所得税

こちらは問題があります。

非課税範囲の問題です。

公共交通機関を利用する場合は、かかった費用は10万円までは全額非課税です。

ですが、自転車のような交通用具を利用する場合は、その通勤距離に応じたて非課税限度額が変わります。

ですから、『電車通勤してるはず』の非課税限度額と、『実際には自転車通勤している』場合の非課税限度額は違ってきます。

多くのケースで、後者のほうが、少ない限度額になるので、労働者にとって、課税収入を非課税収入としてしまっていることから、税金を少なくしてしまっていることにつながってしまいます。

※上記のケースだと全額課税でも課税されるような収入にはならないパートさんですが…。

 

・不公平感

通勤手当ですから、前出の通り、所得税法で非課税限度額については定められていますが、いくら払おうが事業主の自由です。

ですから、決めるのは事業主です。

 

ただ、一人だけ得をするような状況は好ましくはありませんね。

1回の通勤で、200円儲かるとすれば…。

医療機関で1日4時間の勤務なら、時間給50円に相当します。

おそらく、それも含んで労働条件を考えていらっしゃるでしょうね。

 

強い悪意はないということを踏まえていただいて、今後の勤務や、周囲との均衡性も考えて、最終的にどういった対処をされるのかを検討してみてください。

 

※たぶん答えは…。

①引越しをしたが、申請していない。(住民票移してないとか言い訳します…。)

②引越しはしていないが、ほとんど家に帰っていない。(彼氏の家とか…。)

始めから全く嘘ってことはあまりないと思われます…。

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