12

8月

2010

退職金って絶対に払わないといけないのでしょうか?

【質問】

退職金って絶対に払わないといけないのでしょうか?

 

【回答】

まず、そもそも退職金というものは、法的に支給義務はありません。

しかし、就業規則等で、明確に『払う』としていれば、それはすでに賃金扱いとなりますので、絶対に払わないといけません。通常の賃金と同様の扱いです。

また、逆に『払わない』としていれば、払う義務はありません。

これが原則です。

 

就業規則がない、明確な定めがないような場合では、基本的には払う義務は生じません。

しかし、過去の支給実績から、定めこそないが、定めがないだけでルール化されてしまっているような場合には、期待権(もらえるだろうという期待)が存在することになり、支給義務が生じてしまいます。

なお、期待権の考え方は、就業規則に『払わない』と定義していている場合でも起こりうるものです。

 

【解説】

まとめると以下の2つが判断材料です。

①就業規則や雇用契約書がどうなっているか?

②過去の支給実績がどうなっているか?

 

①は契約の内容ですから、例えば、『退職金が有る・○○円です。』と記載があって、実際は払わないとなると、完全に契約不履行ですし、そもそも『退職金がない』と記載されていれば雇用契約が成立しなかった可能性も出てきます。

そうした意味で①で払うとなっていれば、まず支払い確定ですね。

 

次に、①で『払うとなっていない』、つまり、『払わない』とされていたり、そもそも就業規則や雇用契約書がないケースでは、②の過去の支給実績を見るわけです。

いくら『払わない』と定義してあっても、過去の支給実績を見ると、5年以上勤務して退職した人のほとんどに支給されているような実績があれば、労働者としても、私も5年以上働いて辞めるのでもらえるに違いないと期待してしまうような環境があれば、そこに支給義務が生じてしまうわけです。

逆にいえば、今まで支払ってきたのに、今回支給しないことへの合理的な理由が必要になるわけです。

 

期待権が発生するのは、どの程度の退職金支給実態があればというものが明確にあるわけではないので難しいところですが、払ってきた人たちと今回払わない人との違いを説明できるのであれば問題ないでしょう。

あるいは、過去において、払ってきた人たちと払ってこなかった人たちに明確な違いがないとすれば、ルールではなくその時々の状況で支払ってきたということの証明にもなります。

今回の対象者が、払ってきた人たちとの違いがなく、払ってこなかった人たちと違いがあるようなケースでは、期待権を考慮してあげないとトラブルになる可能性があります。

 

過去に比べて減額したり、支給しなかったりするケースでは、下記のような説明をしてあげるほうが良いでしょう。

※これでセーフというわけでもありませんが…。

 

『過去、退職金を支給していた時期もあったが、本来は退職金制度もなく、労働条件のひとつというよりは、気持ちで払っていたものなんです。今回も同様の気持ちなのですが、経営状態も芳しくなく、正直なところお支払いすることができません。感謝の気持ちがないわけではありませんので、ほんとうに心ばかりのお礼だけをお渡しします。現状をご理解いただけるよう願います。』

※少額の商品券等をお渡しするなど、本当にお礼程度のものでも渡せれば…。

 

日頃の関係が悪かったり、トラブルで退職するケースでなければ、このスタンスで説明されて、『それはおかしい!』と異を唱えられるケースは少ないはずです。

この記事のトラックバックURL


トラックバック / ピングバック 0

コメントをお書きください

コメント: 0

  • loading

新着イベント

ひろせ経営者セミナー

0416就業規則セミナー

『誰でも読める!誰でもわかる!就業規則』を作成体験してみていただける無料セミナーです。

もちろん、何故就業規則を作っておいたほうが良いのか、最新の労務情勢において作成時に注意しておくべき事項などもご案内させていただきます。

日時:平成23年4月16日(土)

   午後2時〜5時

場所:ハートンホテル京都(烏丸御池)

費用:無料

講師:河原 義徳

 

お申し込みはお問い合わせ•ご質問 

あるいは、下記ファイルをダウンロードしてファックス願います。

申し込み用紙
0416裏面.jpg
JPEG イメージ [601.9 KB]
ダウンロード

労務リスク診断

無料簡易診断サービスのご案内

随時、受付、対応させていただいております。

 

ただし、現在、関西地区限定とさせていただいております。他地域の方で関心をお持ちの場合は、ご一報ください。ご検討させていただきます。

労務リスク診断 無料簡易診断サービス案内•申込書
労務リスク診断.pdf
Adobe Acrobat ドキュメント [1.1 MB]
ダウンロード

労務相談.COMとは?

京都の“ひろせ税理士法人”を母体とした、“廣瀬伸彦社会保険労務士事務所”、“株式会社ひろせ総研”の“特定社会保険労務士”“河原 義徳”が、労務管理に関する情報をお届けするホームページです。

当サイトの情報について

本ページはできるだけわかりやすく情報発信する意図から、お客様への個別対応時そのままのイメージの記載をしています。

 

従って、本ホームページ記載の事項について、当方の誤解を生む表現や誤りにより、お読みいただいた方々に不利益を生じさせる可能性があります。ついては、実行に移される場合は、当方を含め、必ず専門家に個別の相談の上、取り組んでください。

河原 義徳

経営コンサルタント

特定社会保険労務士

ひろせ税理士法人

廣瀬伸彦社会保険労務士事務所

株式会社ひろせ総研

〒602-8155

京都府京都市上京区主税町827

電 話:075-801-6333

FAX:075-801-7372

e-mail:hirose@igyoukeiei.com

ひろせグループ

ひろせ税理士法人のHP

http://www.hiroses.co.jp/

ひろせ税理士法人スタッフブログ

http://hirosemember.blogspot.com/

ブログ内検索

過去のセミナー

今回の京都商工会議所

主催セミナーのテーマは…

中小企業の採用活動!

平成22年11月26日(金)

13時30分~

(15時45分終了予定)

京都商工会議所2階教室

(京都市中京区烏丸夷川上る)

平成22年11月26日(金)に開催される、京都商工会議所の人事労務サポートセミナーに講師として参加させていただくことになりました。

参加費無料とのことです。 

お申込みは下記チラシを印刷いただきファックスいただくか、お問い合わせ・ご質問から、参加希望の旨をご連絡ください。折り返し、ご連絡を差し上げます。

ご案内チラシ・申込書
人事労務サポートセミナー(20101126).pdf
Adobe Acrobat ドキュメント [27.3 KB]
ダウンロード

平成22年7月22日(木)に開催される、京都商工会議所の人事労務サポートセミナーに講師として参加させていただきました。

関係ホームページ

河原義徳のTwitter

河原のTwitterです。よろしければフォローいただけましたら、うれしいです。

メールマガジン

労務管理に関するお役立ち情報を定期的にお届けします。