医師国保についてのよくある質問

年度変わりで、人の出入りがある季節。

 

あまりに多くご質問を受けますので、増患・集患とは少し違いますが、医師向けということで医師国保についてのよくある質問をまとめてみました。

 

(1)スタッフの医師国保保険料は半額負担してあげないといけないの?

 

けんぽ協会、すなわち一般的な被用者医療保険は、法律により事業主半額負担になっています。

しかし、医師国保を始めとした職域国保にそのような規程はありません。

従って全額本人負担が原則ということになります。

ただ、けんぽ協会が半額負担のため、全額負担させられることに、収入の少ない方は不満を持つことが多いです。

何故なら医師国保は収入に関係なく、全員一律の保険料だからです。

収入が多い方は全額負担しても保険料が安いと感じますが、収入が少ないと保険料を高く感じてしまうのです。

※けんぽ協会は収入(標準報酬月額)に応じた保険料。

 

従って、あくまでも原則全額負担ですが、スタッフご本人分については、半額負担されている事業所も少なくはありません。

 

(2)1世帯1国保ルール

数年前から、この1世帯1国保ルールが徹底されてきました。

 

このルールは、ひとつの世帯(住民票単位)に、国保はひとつ、つまり、市区町村国保と医師国保の加入者が、1世帯に両方存在することが許されなくなったのです。(以前からそうだったものが厳格化されたと認識しています。)

 

ゆえに加入時に、住民票の提出を求められ、加入保険を確認されるわけです。

 

例えば、自営業のお父さん(市区町村国保)の娘さんが、医療機関に勤めようとすると、娘が医師国保に入ることで、お父さんまでもが医師国保に入る必要が出てくるのです。

※父(市区町村)、娘(医師国保)は、世帯同一であれば、1世帯1国保のルールに反する。

 

個人事業主であれば、医師国保への加入で“加入できる”なので、上記の例の場合、“父も一緒に医師国保に入る”か、“医師国保加入をやめて父の市区町村国保に残る。”という選択肢を選ぶことになります。

 

しかしながら、これが厚生年金加入事業所、つまり医療法人だとこうはいきません。厚生年金は労働時間(正職員の3/4以上勤務)によって強制加入で、医療保険もセットでついて来てしまいますから、加入を止めるという選択肢を選ぶことができません。

 

この場合は、“父も一緒に医師国保に入る”か、“けんぽ協会の医療保険に入る”のいずれかになります。

 

※そもそも、法人に雇用される者はけんぽ協会の医療保険・厚生年金に入るのが原則で、医師国保は“適用除外承認申請書”を受けてけんぽ協会への加入を除外してもらっているという考え方になります。

 

こうなると、どちらも選びづらい選択肢になります。

前者はお父さんのプライド・メンツもあります。

※制度上そうなので仕方ないのですが、娘に扶養されているイメージですね。

後者は事務上、医師国保の職員とけんぽ協会の職員が混在することになり、大変ややこしく感じます。

 

しかし、実際に、この運用で数年来ていますので、そうした状況になられている医療機関も多々あります。

 

ただし、この1世帯1国保は、住民票ベースで考えられます。従って住民票を別にする、つまり世帯分離をすれば、娘さんだけが加入することもできるわけです。

何のために何をするのかという、そもそも論になってしまいますし、医療保険だけではなく、他の何かに影響する可能性がありますので、不用意にお勧めすることはできません。

 

(3)じゃあ、家族の分は半額負担してあげるの?

(2)の例や、扶養親族がいるケースなどで、家族の保険料が発生した場合の保険料負担ですが、当然ですが、本人ですら原則全額本人負担ですから、家族の場合も原則本人負担です。

 

ちなみにけんぽ協会はと言うと、家族を何人扶養に入れようと保険料は変わりません。追加は0円です。事業主的にも負担が増えませんから、拒む事業主もいません。

 

それこそ、法律の根本が“健康保険法”と“国民健康保険法”で違うわけですから、比較すること自体がおかしいのですが、あまりご存知ない職員さんから要望があるかもしれません。

 

残念ながら法律は、全額本人負担も半額事業主負担もいずれも強制していません。

 

先生が決めるしかありません。

(1)の本人分半額負担にしてもそうですが、原則は全額本人負担です。

 

・長時間働いてくれる人には、報いてあげたい。

こう思えば、医師国保加入者は、他のパートさんよりも長時間働いてくれていると思いますから、本人分を半額負担してあげても良いと思います。

 

・母子家庭を援助してあげたい。(パートさんが女性が多いという目線で)

こう思えば、女性であって、世帯主である場合は、お子さんの分まで半額負担してあげる。

 

逆に… 加入する家族全員について半額負担するとなると、

・家族がある人を優遇したい。

こんな風に思っていることになります。

 

・全員公平(評価の上の公平も含め)に報いてあげたい。

こう思うなら、本人分も全額本人負担にして、その分、時間給に反映してあげることもひとつです。

※この方が求人の際は有利かもしれません…。

 

自由だからこそ、難しいのですが、自由だからこそ、先生がどんな人を優遇・援助してあげたいかを考えていただければ、答えは出ると思います。

 

少々、マニアックでコアな話になりましたが、結構誰も深く理解していないお話ですので、ご参考になればと思います。

 

 

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コメント: 7
  • #1

    panchan1014 (金曜日, 15 2月 2013 15:31)

    こんにちは
    医師国保を調べているうちに、このページに到達しました。
    お教えいただきたいことがございます。
    ご本人負担分を事業主が支払っている場合、事業主としては「法定福利費」となるのでしょうか。
    これはないと思うのですが、「事業主の社会保険料控除」の対象となるのでしょうか。
    もしくは、「給与」扱いになり、本人の「給与収入」増えて「社会保険料控除が減少する」(給与所得控除分、本人の所得税に違いがでる?)形になるのでしょうか。
    もし、お時間ございましたら、お教えいただければ幸いですm(_ _)m

  • #2

    河原 義徳 (木曜日, 21 2月 2013 19:29)

    回答遅くなりました。

    一応の回答としてご理解ください。

    まず、保険料の負担義務がないので、本人負担分というのが限定できません。

    ここでは、協会けんぽと同様の半額負担で話を進めます。

    この場合、協会けんぽと同程度なので、法定福利費として処理して問題ありません。

    次に、更に半額も負担してあげる、つまり全額を負担するケースですが、これは、協会けんぽの保険料を負担してあげるケースと同じと考え、相応分の給与を支給するという考え方になります。

    例えば、10,000円の保険料なら、5,000円を給与として課税支給して、5,000円を社会保険料として従業員から控除する形です。

    事業主として、5,000円は給与、5,000円は法定福利費という形ですね。

    労働者としては、5,000円は社会保険料控除を受けられますが、給与収入は5,000円増えますし、雇用保険も税金も対象になってしまいます。

    完全な回答で間違いがないというスタンスで読まないでくださいね。私の理解ということで考えていただくと助かります。

  • #3

    マツモト (水曜日, 17 4月 2013 00:02)

    主人が自営業となり この度 国保から私の方の医師国保に主人と子供を加入するか 私が国保から協会けんぽにうつすかの 選択を迫られてます。
    先程のコメントにもありましたが 主人としては 私の方の保険にかわるのは プライド的にも どうか?というところもありますし 私の職場に管理されてるような気持ちにもなるようです。職場のほうに主人の収入が分かったり(個人情報的なことも)他に何か提出するような事が将来あるのでしょうか?

  • #4

    彷徨人 (木曜日, 02 4月 2015 00:49)

    医院経営者です。従業員同住所に国保の家族がいる場合その従業員の家族の保険料をその従業員から引かれますが、両親、弟がいるばあい3人分引かれると手取りが少なくなります。アルバイト生活の弟と72歳と71歳の両親の保険料をひかれるというのはあまりにも理不尽ではないのでしょうか。対応策はあまりないのでしょうが何かありますか。また見直す動きなどないのでしょうか

  • #5

    河原 義徳 (木曜日, 02 4月 2015 09:26)

    めちゃめちゃ遅い返信で、すでにもう結論も出ているでしょうが上から…。

    マツモトさん。
    国保は、収入で保険料が変わりませんので、住民票ぐらいしか提出を求められないはずです。自営業でしたら、国保なのも当たり前ですので、ご心配することはないと思います。

    彷徨人さん
    そこは、ご家族の問題かと思います。
    うちのお客様でも、家族全員分の保険料を控除されて、手取りが極少になっている方がいます。ですが、こちらの場合は、本来の国保の保険料よりも安くなるので医師国保に加入されていますので、控除されている額と、本来の国保との差額を、家族からもらっていらっしゃいます。結果、得されています。
    個人経営で厚生年金非加入事業所であれば、医師国保に加入しせず、市区町村国保に加入するという選択肢が選べるはずです。(強制加入ルールはないはずです。)
    法人経営、あるいは厚生年金加入事業所であれば、協会けんぽに加入するという選択肢が選べるはずです。(経営者的に面倒だとか半額負担強制が嫌ということで選ばせないのならやむをえませんが、その分の給与調整をするなどで対応は可能かと思います。)
    その上で、医師国保を選択しているのですから、少なくとも通常の市区町村よりも保険料負担が少ないはずです。
    家庭環境が…で、保険料を返してもらえないなどという状況だと、かわいそうということになりますが、そこは立ち入れないところかなと思います。

  • #6

    一世帯一国保について (月曜日, 27 7月 2015 07:38)

    母子家庭です。
    現在、本人は医師国保に加入。子供たちは市の国保に加入していますが今のところ、病院、市両方から一世帯一国保のはなしは聞いておりません。
    もし子供たちも医師国保に加入する場合、半額負担はなく、保険料は高くなってしまいます。
    この場合、それでも、医師国保に全員加入しなければなりませんか?

  • #7

    ayamama (月曜日, 15 8月 2016 14:12)

    家族が障害者特2吸で現在障害年金を受給しております。
    国民年金は免除状態なのですが、私が医師国保に加入することになり、一世帯1国保なので、家族も加入することになります。この場合厚生年金に家族も加入しなければならないのでしょうか?医師国保家族加入で国民年金加入は無理なのでしょうか?
    ご回答宜しくお願い致します。

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