【質問】
パート従業員が社会保険の加入を希望してきました。うちはパートは保険加入していないのですが、希望に応えないといけないのでしょうか?
【回答】
社会保険(医療・年金)、雇用保険は、正規・パートや月給・時間給という括りではなく、週の所定労働時間数によって加入が義務付けられています。
加入させたくない・加入したくないケースでは、そもそもの週の所定労働時間数を所定の時間数未満に設定する必要があります。
①社会保険(医療・年金)
協会けんぽ、厚生年金の場合は、正社員の3/4以上の勤務があれば加入が義務です。すなわち正社員が週40時間働く会社なら、週30時間以上勤務するパートタイマーは加入義務があります。
②雇用保険
週20時間以上の勤務で加入義務があります。
【解説】
以前、このブログでもご説明しましたが、『パートタイマーだから…』という取り扱いは存在しません。『時間給だから…』というのもさっと思いつくのは算定基礎届の有効となる算定基礎日数での特例くらいでしょうか。
世間では、いまだに『パートだから』保険は加入しない、有給休暇はないといった取り扱いを見ます。
とは言え全員を平等にということでもなく、呼び方や給与の払い方ではなく、どれだけ働くか、つまり週の所定労働日数や時間数で振り分けがなされます。
ですから、加入させたくない・加入したくないのであれば、週の所定労働時間数を加入できないように設定することが大事です。
それが良いか悪いかは別として、週40時間の人を3人雇えば3人分の社会保険料が必要ですが、週29時間45分の人を4人雇っても社会保険料負担はゼロです。
もちろん、加入を希望しないケースでは、おそらくは誰かに扶養されている可能性が高いので、先日のQ&Aで説明した『今日以降1年間の収入見込みが130万円未満』という要件を満たすことも一緒に考える可能性が高いです。
ここでややこしいのは…。
・加入する、しないは『週の所定労働時間数』、つまり時間数。
・扶養される、されないは『今後1年間の収入見込み』、つまり収入金額。
基準が違うことです。
『加入しない→扶養』という→は、時間給の高い資格職のパートタイマー(看護師・薬剤師など)には通用しないケースがあります。
この場合は、個人で市区町村国保・国民年金に入ることになり、多くのケースでかなりの負担増になります。
ご本人の希望に沿う形での雇用形態を実現することで、不要な不満因子、転職動機を排除することができます。
とはいえ、希望に沿うのと、わがままを通すのは違います。
その際の基準として、それぞれの制度のルールを基準とするのは、明快で納得性の高いものになるかと思います。
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